09.23
【社説】対北支援決定、韓国だけが完全にずれている
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は21日(米国時間)、ニューヨークで米国のトランプ大統領と首脳会談を行い、韓米両国が協力して北朝鮮に圧力を加えていくことで一致した。また安倍首相も加わった韓国、米国、日本の3カ国首脳会談も開催された。文大統領は国連総会での演説で「北朝鮮の崩壊は願わない」「吸収統一も追求しない」との点を明確にした上で「北朝鮮が核を放棄するまで、強力で断固たる対応が必要だ」とする一方「これは戦争を阻止し平和を守るためだ」と付け加えた。文大統領の演説は普段から訴えてきた内容とさほど違いはなかったが、「韓半島(朝鮮半島)運転者論」や「北朝鮮との対話論」などへの言及はあえて避けたようだ。
ところが文大統領が演説を行う直前、韓国統一部(省に相当)は北朝鮮に800万ドル(約9億円)相当の人道支援を行うことを決めた。ただし支援を行う時期は今後調整を行うとしている。米国のマティス国防長官が「ソウルを危険にさらさない北朝鮮への軍事オプションがある」と公言し、その翌日にトランプ大統領が北朝鮮に「完全なる破壊」という言葉を使って警告した直後、韓国は北朝鮮への支援を表明したのだ。世論の反発を受け実際に支援を行う時期はあいまいにしているが、今年中には行われる可能性が高いという。もちろん北朝鮮住民への人道支援に反対する人間はいない。しかし今は韓民族を絶滅させかねない水素爆弾とみられる核実験が行われた直後だ。そのため国連は北朝鮮向け輸出の3分の2を阻止する制裁に乗り出しており、これに加えて海上封鎖を徹底して行うよう求める声も出始めている。ところが韓国国内では北朝鮮への支援策が議論され、これがたちまち決定した。北朝鮮の核により最大の被害を受ける国は他でもない大韓民国だ。ところが今この大韓民国だけが完全にずれていると言わざるを得ない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版