09.15
北朝鮮ミサイル 3700キロ飛行、グアム射程か
韓国軍合同参謀本部などによると、北朝鮮は日本時間15日午前6時57分ごろ、平壌の順安(スナン)付近から東に向けて弾道ミサイル1発を発射した。日本政府によると、ミサイルは北海道上空を通過し、午前7時16分ごろ、北海道・襟裳(えりも)岬の東約2200キロの太平洋に落下した。付近を航行する航空機や船舶への被害は確認されていない。政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を通して12道県に避難を呼びかけた。韓国軍によると、ミサイルは飛行距離約3700キロ、最高高度約770キロ。日本政府は約800キロとしている。
飛行距離は前回より1000キロ延びており、平壌から約3300キロ離れた米領グアムに届く射程を実証した可能性がある。小野寺五典防衛相は記者団に「8月29日の『火星12』と同様の中距離弾道ミサイルの可能性がある」と語った。
北朝鮮の弾道ミサイル発射は、8月29日に北海道上空を越えて太平洋に発射した「火星12」以来。北朝鮮ミサイルが日本上空を通過するのは6回目。
今回、北海道上空を通過したのは午前7時4~6分ごろ。政府は発射約3分後の午前7時、Jアラートを通じて、北海道や青森県、福島県、群馬県、新潟県など12道県の全617市町村に発射情報を伝えた。日本の領土・領海への落下物はなく、自衛隊の弾道ミサイル防衛(MD)システムによる破壊措置は実施しなかった。
北朝鮮は今月3日に6回目の核実験を強行し、国連安全保障理事会は11日(日本時間12日)に新たな制裁決議を採択したばかり。今回のミサイル発射を受け、日米韓3カ国は安保理議長国エチオピアに緊急会合開催を要請し、15日午後3時(日本時間16日午前4時)に開かれることが決まった。発射非難の報道機関向け声明などが議論される可能性がある。
安倍晋三首相はミサイル発射時、インド訪問から政府専用機で帰国する途中で、機内から政府内に情報収集・分析を徹底し、米国や韓国などと連携して対応することなどを指示した。政府は首相の帰国をはさんで2回にわたり首相官邸で国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を開催し、情報集約や対応を協議した。
政府は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。菅義偉官房長官は記者会見で「国民の強い憤りを伝えるとともに最も強い言葉で断固非難した」と述べた。韓国政府も「国際社会の平和と安全に対する重大な挑戦で、強く糾弾する」との声明を発表した。【米村耕一(ソウル)、高橋克哉】