09.09
(29)金正男暗殺事件にまつわる様々な謎
金正男暗殺事件について、菅沼氏も「WILL]と言う雑誌にいろいろなことを書いたと言うが、本当に正確な情報が無いので、想像と憶測で書いてしまったという。
①殺されたのは一体誰なのか?
マレーシアの警察当局は、金正男であると断定した。しかし、北朝鮮は認めていない。亡くなったのは金哲と言う名の北朝鮮の外交官パスポートを持っていた人物で、金正男ではないと言っている。中国も、殺されたのは金正男だとは一言も言っていない。公式には認めていないのである。
マレーシア政府は、最初は金正男だから遺体は親族のところにしか返さないと言っていて、北朝鮮は、北朝鮮国民だから返せと争っていた。結局、遺体は平壌に返してしまった。
②この人は何が原因で死んだのか?
マレーシア政府は、最初、北朝鮮の大使館に心筋梗塞で亡くなったと通報している。その後、最初の検死結果では死因は不明だが、2回目の時、神経剤のVXという毒薬で殺されたことが判明したとマレーシア政府は発表した。しかし、ハーグに化学兵器禁止機関(OPCW)と言うのがあって、そこの技術援助を得てVXだと判明した。しかし、それがどういう成分だったのかと言うのは一切公表していない。
③女の子2人が殺したということになっているが、いろいろな疑惑が出てきた。VXというものは生易しい毒薬ではない。やった女の子も死んでしまうはずだ。また、その周辺を調べたがどこにもVXの痕跡がない。
インドネシアとベトナムのパスポートを持った2人の女の子が、VXを使って金正男を殺したということで実行犯として逮捕された。しかし、起訴されても裁判が全然開かれていないのである。なぜ開かれていないのか?
この2人の女の子の弁護士は、本当に彼女たちが殺したという証拠品を出してほしい。それにVXの痕跡があるかどうか、そのものを出してくださいと言っている。テレビで見ている限り、塗り付けた瞬間には金正男は死んでいない。ところが、マレーシア政府は証拠を出さない。不思議な話である。
④本当に北朝鮮の組織的犯罪なのか?
彼女たちを支援し、命令をしたとされる北朝鮮の人達5~6人は、韓国の情報では恐らく北朝鮮の工作機関偵察局の人間だと言うが、この人たちも犯行当日には北朝鮮に帰ってしまって、北朝鮮国籍の容疑者は誰もマレーシアに残っていないのである。
もし、北朝鮮が金正男を暗殺したのなら、何の為にやったのか? その動機は何か? このようになってくると、いろいろな説が出てくる。
菅沼氏は、金正恩と言う人を、金正日と在日朝鮮人の女性の間に生まれた息子と考えている。それゆえ、白頭山の血統を継いだ金正男が正統な後継者だと考えているようである。しかしながら、金正恩は金正日と横田めぐみさんの子供である。つまり、李氏王朝と天皇家の血統を継ぐ女性だった横田めぐみさんと金正日が結ばれて生まれた子供が金正恩だったのである。それゆえ、李氏王朝と天皇家の血統を継ぐ者として金正恩が後継者に選ばれたのである。→日本人の拉致問題は横田めぐみさんだけを拉致することを目的にした行為だったのである。その他の拉致については残念ながらカモフラージュだったと考える。
問題はアメリカと中国である。アメリカにとって、一番大きな脅威は北朝鮮の核実験あるいは大陸断弾道弾ミサイル(ICBM)の開発だと言ってきた。つまり、アメリカ本土に対して直接攻撃できる能力を持った国の存在である。ロシアは核大国でいつでもアメリカを攻撃できる。アメリカにとって最大の脅威はロシアである。ところが北朝鮮が脅威となる日が近づいてきている。金正恩がいる限り、北朝鮮は核開発を止めないし、ICBMも作り上げるだろう。そこでアメリカはレジーム・チェンジと言うことを言い出した。要するに政権交代である。これをどうやって実現するか?
韓国では米軍の軍事演習をやっている。これはどういうことかと言うと、夜陰に紛れて密かに海。空から北朝鮮に潜り込んで金正恩の所在を突き止め、そこに乗り込んで命を取る。そうすると、北朝鮮の現在の政権は倒れる。
しかし、今までアメリカは、イラクのサダム・フセインをやっつけて独裁政権を倒した。リビアのカダフィをやっつけて独裁政権を倒した。その後どうなったのか? それぞれの国内が大混乱になった。したがって、北朝鮮の場合も、金正恩を殺すだけではダメであり、次なる政権を確立しなければならない。この国では白頭山の血統を継いだ人でないと治まらない。そういうことで金正男を金正恩の代わりに持ってこようと陰謀を企んでいたのではないか。それ察知した金正恩が金正男を殺してしまったのではないかと言う説のほうが説得力がある。
しかし、一方、中国は、2008年に金正日が脳梗塞で倒れたときに、後継者問題が浮かんできたが、金正男の方を後継者として有力と見ていたという。しかし、金正日は金正恩を後継者に選んだ。まだ20代の青年が、この難しい国際情勢の中で指導者としてやっていけるのか、金正日としては心配だった。国内でイヨンホと言う人民軍の参謀総長を後見人に選んで人民軍が金正恩を支える形にした。また、金正日は亡くなる直前の数年間に何回も中国に行って、金正恩も連れて行って、金日成将軍が活動した革命の様々な遺跡を、朝鮮革命の原点だと教えた。それと同時に、総書記だった胡錦濤とも会って、中国に金正恩の後見をお願いしたのである。その交渉の代理人が、後に粛清された張成沢が務めたという。