2017
07.10

「リッチスタン」とは何か(11)

世界情勢, 世界経済, 防衛

日本と世界の情報ブログより   2017-06-26 09:10:17
(11)国際救助隊「サンダーバード」が人殺しと化す!
 日本人は「国連」を国際平和組織と思い込んでいるが、「第2次世界大戦」で枢軸国を倒した連合国軍の国際監視組織であり、戦勝国による戦後体制維持を目的とした世界システムである。実際、連合国の言葉は、枢軸国と戦った26か国がワシントンD・Cに集まり、ワシントン宣言で初めて使用された名称である。名付け親はフランクリン・ルーズベルト大統領であり、チャーチル首相もこの名称に同意したとされる。「安全保障理事会」も、戦勝国であるアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5か国であり、最高決定機関「常任理事国」を形成し、戦後の戦勝国体制を維持してきた。
 その意味では、日独伊の「三国同盟」は敗戦側であり、国際社会の日陰者となる。それでも戦後、ドイツは大勢の友人をEU内で作ったが、日本はアメリカしか友人ができなかった。ダグラス・マッカーサーが日本人を「12歳」と称したように、むしろ支配者と被支配者の関係、自虐的に言えば、主人と小作、奴隷の関係かもしれない。しかし、アメリカはそれを露骨に言わず、傀儡を作って間接統治することでアメリカ支配をカモフラージュした。そうすればに日本人は自分をアメリカの奴隷と考えなくなる。
 それでも、戦後70年を経ても未だアメリカ軍基地が日本国内に残る現実は覆い隠せない。いわゆる占領軍である。日本の首都上空が未だにアメリカの支配下にある現実を日本人は知らない。極論すれば、東京近郊を飛行するにはアメリカの許可が必要なのである。それを「横田空域」といい、東京・福生市のアメリカ軍横田基地上空に広がる空域が、アメリカの領空である。こんな独立国は無いし、あったら世界の恥さらしである。
 この日米主従関係は、「憲法9条」を盾にすることでアメリカの思惑を拒絶する日本最大のツールであり、アイデンティティを曲がりなりにも支えてきた武器だった。アメリカ製憲法を使って一矢報いてきたのである。日本人にとってアメリカの言いなりにならない唯一のカードだった。それを安倍自民党は、衆参両院で圧倒的多数を握るや、解釈だけでアメリカに売り渡したのである。憲法を強引に捻じ曲げ、自衛隊をアメリカ軍の一部に組み込ませたのである。
 この暴挙によって、日本は完全にアメリカの従属国家となった。その意味から、安倍首相は日本をアメリカに売り渡した戦後初の総理大臣となった。
 今回の強行採決による「安全保障関連法」により、日本は「第2の敗戦」を迎え、アメリカは日本を再占領したことになる。この意味は、ダグラス・マッカーサーと吉田茂が「憲法9条」と戦後混乱を盾に、当時のアメリカ政府の野心をはねのけた努力への裏切りを指す。安倍自民党は日本最大のカードをドブに捨てたのである。
 当時、トルーマン大統領は、朝鮮半島有事に対し、占領した日本人を半島に送り込み、北朝鮮軍と中国軍と戦わせようとした。これを強行採決後の現在に置き換えると、アメリカは自由に自衛隊をアフガニスタンに送り込み、タリバンと戦わせることができる。IS(イスラム国)との戦闘に自衛隊を派兵させ、アメリカの駒に使うことができるということである。
 安倍首相は憲法を解釈で誤魔化すことができる男である。その男が舌の根も乾かぬうちに、最前線に自衛隊を送らないとか、後方支援に徹するというが、都合よく解釈を変える男の言葉を信用できるわけがない。その前例を安倍首相本人が作ったからである。後に続く大臣もそれを踏襲していくのは目に見えている。
 自衛隊は否応なく戦闘に巻き込まれ、専守防衛からアメリカの敵と戦闘状態に陥るだろう。それだけではない。アメリカと共同歩調する派兵を通して、アメリカの犬と化すため、東京など主要都市でもイスラム軍の爆弾テロが発生し、海外に赴く日本人観光客も無事では済まなくなるだろう。

(くまチューブ)