09.21
米FRB、資産縮小を10月実施 金融政策正常化へ一歩
2017.9.21 08:04
【ワシントン=小雲規生】米連邦準備制度理事会(FRB)は20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、リーマン・ショック後に拡大した保有資産の縮小を10月から始めることを決めた。米国経済の堅調さを反映した決定で、金融政策の正常化に向けて一歩を踏み出す。一方、物価上昇率の伸び悩みを踏まえ、追加利上げは見送った。また年内にあと1度の利上げを行うとの見通しにも変化はなかった。
イエレン議長はFOMC後の記者会見で保有資産縮小開始の理由について「経済は好調で、ある意味では景気刺激策はもはや必要ない」と説明した。
FRBは2008年のリーマン・ショック後、国債などを大量に購入して市場に資金を供給する量的緩和政策を実施。その結果、保有資産の規模が約4兆5千億ドル(約500兆円)まで拡大していた。資産規模縮小は非常時の金融政策を正常に戻す意味合いがある。
一方、イエレン氏は9月に米南部を襲ったハリケーンの被害の経済活動への影響について、「過去の経験からみて、ハリケーンが米国経済の道筋を本質的に変える可能性は低い」と発言。ガソリン価格や失業率の上昇といった余波は半年程度で収束するとの見通しを示した。
また足下の物価上昇率の伸び悩みについては「予想外だった」と言及。そのうえで中期的には物価上昇率が2%に向かうとの見方は崩さなかった。
FOMC後に発表された経済見通しでは、年末の政策金利の水準は1・375%になるとされた。6月時点の予想水準が維持され、年内に残り1回の利上げが行われる計算になる。市場では12月の利上げ実施が有力視されている。
FRBは6月のFOMC後、保有資産の縮小について、当初3カ月は月100億ドルを上限とするペースで米国債などの保有額を減らし、さらに3カ月ごとに縮小額を増やすなどとする手法を公表。開始時期は「年内」としていたが、具体的な時期は明示していなかった。