2017
05.27

「過去3000年間加速し続ける地球の寒冷化を止めることはできない」 : 南極とグリーンランドの氷床コアが語る地球過去45万年のサイクルから見る「今はまさに氷河期突入直前」だという強力な示唆

地球環境

 最近、海外のSNSで話題となっているネット上の論文があります。
 それは、NOAA (アメリカ海洋大気庁)のデータをもとに、過去 45万年の氷床コアのデータから地球の気温のサイクルを見つめ直したものです。その内容は「現在の地球は過去 8000年の中で最も寒い」ことがわかると共に、これからの地球の気候を考える上でとても参考になるものです。今回は前振り一切ナシで本文に入ろうと思います。
 「なぜ、今、氷河期が近いといえるのか」ということや、地球の歴史が見せてきた「厳密な気候のサイクル」に驚かれるかと思います。
簡単に書けば、
 「地球という場所は、約10万年間の氷河期と、約1万年間の温暖期を繰り返している」
ということが、少なくとも過去 45万年の氷床の記録は示しているのです。そこに意図があるのかないのかはともかく、地球は気候レベルで厳密な変動を繰り返しながら存在し続けていることがわかります。そして、今の私たちは 1万年の温暖期の「完全な最後の時期」にいることもわかります。次の氷河期がすぐに迫っているということが、データは明白に示します。あるいは、「なぜ、こんなにも気候が荒れてきているのか」ということも、この本文の中の文章で理解できる部分があります。そんなわけで、本題に入りますが、文中に出てくる単語の説明だけは最初に記しておきます。
・完新世 – 完新世(かんしんせい)は地質時代区分のうちで最も新しい時代である。現代を含む。
・後氷期 – 後氷期(こうひょうき)とは、約1万年前から現代までの時代をさす。
・間氷期 – 氷期と氷期の間の比較的温暖な時期。現在は後氷期にあたるが、次の氷期の前の第四間氷期であると考えられている。

 また、地球の寒冷化やミニ氷河期については、過去多くの記事を記させていただいていますので、翻訳の後に、個人的にピックアップした記事のリンクを示させていただきますで、ご参考いただければ幸いです。

人為起源による地球温暖化のための完新世の背景

 私たちの現在の有益で温暖な後氷期(1万年前から現在までを含む時代)は、過去1万年間、人類の文明の構築を可能にしてきた。 完新世の穏やかな気候は、人類の最古の農業から、最近 100年間の科学技術の急速な発展までを支え続けた。しかし、今現在、グリーンランドの氷床に記録されるすべての北半球の氷床は、以下のことを示している。 ・最後の千年紀である西暦 1000年 – 西暦 2000年の間は、後氷期の中で最も気温の低い 1000年であること。

・完新世の気温記録の各記録ポイントでは、以前の最高点より次第に気温が冷却してきている。

・初期の完新世の最初の 7000〜 8000年の間は、その期間で最も気温の高いポイントを含めて、実質的に平坦な気温記録が続き、気温の平均降下は 1000年当たり 0.007 ℃ でしかなかった(数千年間、ほとんど気温の変動がなかったということ)。

・より最近の完新世では、紀元前 1000年頃の「気温の転換点」以来、以前の 20倍以上の 約 0.14 ℃の気温の低下を見せて現在に至っている。 ・後氷期はすでに 10000年から 11000年続いており、前世紀の期間の長さから判断すると、完新世は終わりに近づいているはずだ。それは、今世紀かもしれないし、次の 1000年紀かもしれない。

・20世紀の終わりから、有意な気温の上昇がもたらされ、それは「人為的な地球温暖化警報」という捉え方に変わっていった。

・しかし、最終的には、この 20世紀後半からの気温の急上昇は、過去 3000年以上にわたる比較的急速な気温低下期間の長期的な進展の中では、小さな変動の一部として見なされるようになるだろう。

・NOAA 以外の機関から公表されたグリーンランドの氷床コアの記録もまた、この知見を裏づけている。

 

 ある一部の人たちは、人為的な要因による地球温暖化の環境への悲惨な影響を警告しているが、その気温変動の規模を考えると、その最高の転換点とされる+ 2℃は、結局は、紀元前 1000年の頃の暖かい期間と似通った気候の水準に近づくというだけだろう。 最近の地質学的状況 南極のボストーク基地の氷床コアの酸素温度評価技術による解析では、以下のことがわかっている。

・過去 80万年間では、約 10万年の間隔で定期的な気温の変動があった

・過去 45万年間に、おそらく 5回の間氷期の温暖期があった。

間氷期の温度の変化と持続時間は、それぞれ差異があり、いくつかの初期の間氷期では、 10,000年の基準よりもかなり短かった。

 これらのデータから示されることは、

・〜10万年周期 北半球の多くが数キロメートルの深さの氷のシートで覆われている長い氷期の繰り返しパターン。

・〜1万年周期 短い期間の暖かい間氷期が続く。というものだ。

 これは太陽のより短い周期的な振る舞いによって調整されることがわかっており、地球の気候を支配するこれらの事実は十分に文書化されており、現在ではよく理解されている。 下は、過去 12万年のグリーンランドの氷床コアが示す北半球の気温の変化だ。

 過去の間氷期の長さから判断すると、およそ 10,000〜 11,000年続いた完新世期は今、終わりに近づいているはずだ。  

したがって、過去のサイクルから見れば、地球は再び完全な氷河に覆われる気候へ戻る時期が近づいている。それは今世紀からかもしれないし、次の世紀かもしれないし、あるいは次の千年紀になるかもしれないが、過去のサイクルに従うのではあれば、予見は可能だ。

 直近の 3000年で地球は急速な冷却を経験しているが、今後より寒冷な気候へと変化が継続していく可能性は高い。

 寒冷化は、より強烈な悪天候につながる。 地球の極(南極、北極)と、熱帯の間の全体的なエネルギーの差は寒冷化によってのみ大きくなる。そして、それにより大気中の安定性が低い状態になるため、悪天候が顕著になりやすくなる。さらなる悪天候に加えて、来るべき寒冷期はまた人類全体と生物圏全体にとって非常に深刻な欠乏につながるだろう。 植物が成長する季節が短くなり、耕作面積が減ることにより、大きな影響が出る。

 それに伴う最大の問題は、生態系の変化による人類の生活圏の確保である。かつての寒冷期では、多くの生物圏が崩壊したが、直近、世界はこれらの悪条件と温度の限界上昇から回復し、20世紀後半は人類と生物圏にとって完全に有益な時代であった。しかし、人為的な温暖化が過去 3000年の寒冷化を逆転すると期待するのは人類の傲慢だろう。

 地球の寒冷化は加速し続けており、その傾向は継続すると考えるのが妥当だ。地球の長い歴史の中で、現人類が直面する危機について早急に手を打たないと手遅れになる。もうマザーアースには時間が無い

(くまチューブ)