2018
02.12

人件費増大、意欲低下に介護の負担まで 迫るバブル・団塊ジュニア世代の高齢化

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 ここ十年の間に、団塊世代が賃金水準のピークを超え、労働市場から退出し始めたことにより、日本企業の人件費圧縮が進んだといわれます。しかしほっとする間もなく、次の課題がすぐ迫っています。それが、いわゆる“バブル大量入社組”や団塊世代の子どもにあたる団塊ジュニア世代社員の高齢化に伴う「2020年問題」です。

 バブル・団塊ジュニア世代は、2014年現在で40~49歳の年齢層にあたります。総務省「就業構造基本調査」によると、この世代の中心層が大企業の雇用者全体に占めるウエイトは、すでに2012年時点で各年齢層のうち最も高くなっており、その数は1992 年時点の団塊世代よりも多くなっていました。程度の差こそあれ、一定規模以上の企業ならどこでも、バブル・団塊ジュニア世代が大きな“コブ”となって、組織の適正な年齢構成を歪めていることは否めないでしょう。あと数年後には、これだけのボリュームゾーンがそのままシニア層となって膨れ上がるわけですから、処遇を誤れば、組織全体のパフォーマンスにも深刻なダメージを与えかねません。

 2020年になると、働く人のうち四人に一人が45~54歳になるとの予測もあり、企業ではバブル・団塊ジュニア世代社員が賃金カーブのピークといわれる50歳代前半にさしかかります。さらにこうした人件費の負担増大に追い打ちをかけるのは、数年後にこの世代が、賃金水準のより高い管理職ポストへの“昇進適齢期”にもあたるという問題でしょう。バブル崩壊以降、多くの企業では組織のフラット化やダウンサイジングが進み、管理職などの主要ポストも相当絞り込まれてきました。バブル・団塊ジュニア世代社員の人口に比べると圧倒的にポストが不足していますから、シニア層になった彼らをそのまま昇進させるようなことは、人件費抑制の観点からはもちろんですが、そもそも物理的にも不可能だと言わざるを得ません。しかしその時に、どうやって彼らのモチベーションやモラールを維持していくのかという深刻な問題が生じます。

 また2020年代には団塊世代、すなわち彼らの親世代が後期高齢者に突入するため、親の介護という新たな難題を抱えたバブル・団塊ジュニア世代社員が急激に増える事態も予測されています。ポストに就けず、所得環境が厳しくなった人には、介護の負担がなおさら重くのしかかるでしょう。

 少子高齢化とそれにともなう雇用延長という流れの中で、退職するまでいきいきと働き続けるためのしくみと、中・長期的な視点に立った雇用・賃金体系をどう構築するか――いずれにせよ、多くの日本企業にとって、バブル・団塊ジュニア世代に対する人材マネジメントが喫緊の課題であることは間違いありません。