09.09
(28)共産党体制の国では指導的イデオロギーを決めた者が権力を握る!
共産党の世界で権力を確立するとはどういうことか? 真のマルクス・レーニン主義とは一体何か? その解釈権を独占することである。ソ連共産党も中国共産党も日本共産党もそうである。日本共産党の場合は、何が真のマルクス・レーニン主義かと言うこと決めるのは、不破哲三氏だという。志位和夫委員長ではないという。今、日本共産党では名目上、志位さんが偉いことになっているが、実質的にはこの党の最高権力者は不破哲三氏である。日本共産党を動かしているのは彼だという。
かってソ連が出来る時に、ボリシェビキが十月革命(1917年)を起こした。その時にマルクス主義を指導理念で行くと決めた。何がマルクス主義かについてはいろいろな解釈があったが、これはレーニンが解釈したマルクス主義だったわけである。その後レーニンが亡くなって、レーニンの後継者はトロッキーと決まっていたが、いろいろなことがあり、スターリンが後継者になった。
1934年の第17回ソ連共産党大会の時、スターリンは「これからソ連共産党を指導するイデオロギーはマルクス・レーニン主義だ。マルクス・レーニン主義とは何かと言うのは自分が決める」と宣言して、解釈権を独占し、権力を確立したのである。そして、トロッキーは、メキシコに亡命したが、スターリンの命令で殺されてしまう。
北朝鮮では、金正日時代は朝鮮労働党大会を開けなかったが、金正恩時代になり、昨年の5月に第7回労働党大会を開いた。その時に金正恩は「これからの朝鮮労働党を指導するイデオロギーは金日成・金正日主義だ」と宣言した。スターリンがマルクスとレーニンをくっつけてマルクス・レーニン主義がソ連共産党の指導的イデオロギーだと言ったときから、ソ連共産党の最高指導者はスターリンだということが確立したわけで、北朝鮮も同じことである。
金正日時代には、解釈権が確立できていなかったのは、それだけの指導力をまだ持っていなかったわけである。ところが若い金正恩は、36年ぶりに党大会を開いて「金日成・金正日主義」を宣言した。これは宗教と同じで、共産党の世界では真理は一つなのである。何が真理なのかと言うことを述べる人が一番の権力者なのである。
例えば、毛沢東主席が亡くなると、毛沢東思想を巡って、中国共産党は猛烈な権力闘争が始まって、ようやく集団指導体制と言うことで落ついた。現在の習近平総書記の方が権力基盤が不安定である。つまり、習近平はまだ独裁者ではないからである。党中央の常務委員会の7人の委員の合意がなければ習近平は実際には何もできないのである。しかし、北朝鮮は、金正恩委員長の権力はすでに確立している。