2017
08.02

日本、100兆円のインフラ投資で物価押し上げを=中原元日銀委員

Topic, 日本経済

http://jp.wsj.com/articles/SB11630407895137984137804583295153916102068

By Megumi Fujikawa
2017 年 7 月 28 日 13:24 JST

 【東京】元日本銀行審議委員の中原伸之氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、日本の物価上昇率を押し上げるには、新たな日銀総裁の下で大胆なポリシーミックス(財政政策と金融政策の組み合わせ)を採用し、その一環として10年間で100兆円のインフラ投資を行う必要があると述べた。

 安倍晋三首相のブレーンとして知られる中原氏は、政府は日銀の黒田東彦総裁の後任と緊密に協調して景気支援策を拡大すべきだと指摘。また、政府・日銀は物価目標について、より現実的な達成期限として2023年という目標を新たにコミットすべきだと述べた。

 「何かしないと日本経済は浮揚しない」と中原氏は述べた。

 日銀が昨年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みを導入したこともあり、来年4月に任期切れとなる黒田総裁の再任に賛成しない考えを中原氏は改めて示した。新総裁は財務省としっかり意思疎通を図る必要があるとも述べたが、具体的な候補者名は挙げなかった。

 中原氏は「日本のインフラ投資は遅れている」ので、10年間で100兆円の投資が必要だとし、政府は60年の建設国債を発行し、その一部を日銀に買ってもらうべきだと述べた。

 さらに、日銀は保有国債の一部について永久債への転換を検討すべきとの持論を繰り返した。そうした買い入れは市場経由で行われるため、財政ファイナンスに当たると短絡的に考えるべきではないと述べた。

 とはいえ、中原氏のこの案は、日銀の国債買い入れペースを年間80兆円から100兆円に増額すべきという同氏の昨年の案よりも、中銀が政府の財政支出を直接ファイナンスする「ヘリコプターマネー」構想に近いように思われる。

 日銀のETF(上場投資信託)買い入れについては、物価目標の達成を必ずしも後押ししているわけではないのでやめるべきだとし、自社株買いで企業に買い戻してもらうこともできようと語った。