2017
10.04
10.04
わが国の将来を左右する南海トラフ地震
南海トラフ地震は、今後30年間で70%の確率で発生するとされ、その被害は、最悪、32万3000人の死者、220兆円の経済損失と試算されており、国難とも言える事態が懸念されています。1755年リスボン地震によって衰退したポルトガル、1923年関東大震災の壊滅的被害で金融恐慌、太平洋戦争に突入した我が国など、過去の歴史を紐解くと、南海トラフ地震対策の成否が、我が国の将来を左右することが分かります。その対策のあり方について、昨日は、大きな転換の日でした。
南海トラフ地震は100~150年の間隔で繰り返し発生してきました。前回の東南海地震が小ぶりだったため、割れ残りの駿河湾域での地震が切迫しているとし、1976年に東海地震説が唱えられました。静岡県下で地震が続発するという異常な雰囲気もあり、1978年に直前予知によって被害軽減を図る「大規模地震対策措置法(大震法)」が施行されました。
一方で、1995年阪神淡路大震災や2011年東日本大震災などで甚大な被害を受け、さらに東南海・南海地震から70年が経過したことから、東海地震に加え東南海・南海地震との連動を考える時期になりました。そこで、南海トラフ全域に対して総合的な地震・津波対策を推進するため、2013年に「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(南トラ法)」が制定されました。この結果、東海地震の直前予知を対象とする大震法と、南海トラフ全域の防災対策を対象とする南トラ法が並立することになりました。