2017
07.10

「リッチスタン」とは何か(7)

世界情勢, 世界経済, 防衛

日本と世界の情報ブログより   2017-06-22 11:51:55
(7)アメリカの思惑に反撃する大和撫子「あかりちゃん(バロディ版」)
 2015年7月2日、自民党は「教えて! ヒゲの隊長」のアニメ動画を党のホームページに公開した。イラクに派遣された元陸上自衛隊隊長の佐藤正久参院議員がキャラクター化され、電車の中というシチュエーションで、高校生のあかりちゃんに自民党の「安全保障関連法案」の素晴らしさをアピールする内容だった。
 おそらく、これを考えた自民党の宣伝企画の連中は、日本のアニメオタクや、バロディ文化を甘く見ていたと思われる。公開1週間後、バロディ版「教えてあげる! ヒゲの隊長」が登場するや、一気に本家を倍近く抜いてしまったからである。
 夏休み終盤で、自民党版約50万件アクセスに対し、バロディ版は2倍の100万件以上のアクセスで本家を圧倒した。全く予想外だったのだろう。続編が至急制作されたが、これまたスグにバロディ版「教えてあげたのに 何言ちゃってんの!ヒゲの隊長」にたちまち追い抜かれてしまう。その人気は、初期の段階でインターネットの枠を超え、地上波TVでも紹介され、佐藤議員も面白いと認める皮肉な状況になった。
 バロディ版の触りは次の通りである。
あかり「じゃあ、ズバリ言うけど、今回の安保法制、憲法違反だよね?」
隊長「そりゃ、大変だ」
あかり「超大変だよ。この時代に立憲主義の否定なんて。どこの独裁国家って感じ。ありえない。恥ずかしすぎて国際社会に顔向けできないんだけど?」
隊長「そんなことはない。でも、本気で心配なんだね? 大事な問題だよね。政治を預かる私たちも、真剣に考えているんだ」
あかり「真剣に考えている割には、真剣に国民に説明する気はなさそうだけどね」
隊長「もし、現実に、ミサイルを撃ってきたらどうする?」
あかり「現実にミサイル撃ってきたら、個別的自衛権で対応できるでしょ? あんた達が無理やり押し通そうとしている集団的自衛権の話は関係ないよね?」
 このあたりは前哨戦のジャブ程度だが、次から具体的になってくる。
隊長「尖閣諸島でのトラブルとか知ってるでしょ? 日本の領土領空を守るために、自衛隊の飛行機が緊急発進した回数は、10年前の7倍になっているんだ」
あかり「はい、出た! 10年前の7倍論ね。そもそも冷戦期には、それ以上の発進回数があったのに、あえて最低の回数だった10年前と比べる理由は?」
 防衛省のデータによると、10年前の141回が、2014年では943回とおよそ7倍に達している。ところが冷戦期の1984年は944回と現在より多かった。つまり、自民党の確信犯的な嘘を、バロディ版の女子高校生が暴いているのである。
あかり「抑止力って言葉、ほんと好きだよね。対テロ戦争に、そんな抑止力なんて効かないし。アメリカ見てみなよ。日本は今まで、戦争をしない国として、様々な平和貢献をしてきた。特に紛争地域、貧困地域における民間レベルの活動は、ホントに大きな信頼を得ている。それこそが一番の抑止力でしょ? なにに、そんなことも無視して、無駄なマッチョイズムを政治に持ち込むわ、そのために憲法違反まで冒して突っ走っちゃうわ。あんたんとこのボスに一言伝えてあげてよ。狂ってますよって。簡単でしょ?」
隊長「あはっ(笑い)。そんなに簡単じゃないんだ」
あかり「でしょうね」
 抑止力でテロを防げないことがアメリカが証明してしまっている。 それでも、国際テロが起きていない日本がアメリカに同調すれば、テロに巻き込まれるのは目に見えている。だから、これも自民党の嘘だった。さらに、あかりちゃんは、自民党の徴兵制再開の魂胆も暴いている。
あかり「まずは、あんたのボスたちに、憲法を正しく理解することをお勧めするわ。最後に1つ。徴兵制に関して。憲法を改悪して、解釈改憲しようとしているくせに、何故か、徴兵制に関してだけ、憲法で禁じられているからと言って、絶対にしないと言い張っている」
隊長「そんなこと・・・」
あかり「あなたたちの狙っているのは、経済的徴兵制だから」
隊長「・・・・・・」
あかり「日本は今、貧困大国になろうとしている。大学に通いたくてもお金がない18歳の若者に、他の仕事とは比べ物にならない厚遇で、自衛隊入隊の手紙が来る。そうやって自発的に軍隊に押し込むんだよ。アメリカがそうしているみたいに」
隊長「そんなことないから」
あかり「本音を言えば、徴兵もしたいんじゃないの? そういうマッチョなの大好きだもんね? 訓練受けさせて、思考教育して、美しい日本人が作れるとでも思っているんでしょ?選挙権を18歳にまで引き下げたのも、その関係だもんね」
隊長「絶対にありえない。だって、だって・・・」
あかり「ほらね、その先は言えないでしょ? 図星だもんね」
 アメリカが本気になったら、大和撫子の皮肉だけではすまなくなる。そんな中、バロディ版のあかりちゃんの応援団が立ち上がった。大和魂を失わなかった参議院議員の一人の男性である。